17話 COP29の着地点から見える景色は
- 奈良環境知足庵
- 2024年11月26日
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アゼルバイジャンでは、波乱のCOP29になりましたね。
最終日を迎えても「途上国支援金」の規模が決まらなくて、この国連会議では初めて2日間もの会期延長がなされ、やっと成果文の採択に漕ぎつけています。
今までは「1000億ドル」だった気候変動対策資金(気候資金)は、議長の提示で「35年までに年間2500億ドルに拡大」とされたものの、「1兆ドル以上にすべき」と言う途上国側の反対が強く、合意には至らなかったようです。
『気候変動での生き様(仮)』では、パリ協定での【損失と損害】を【責任と補償】にさせない国際交渉の「あり様」にも触れていますが、現実は、【損失と損害】での合意のはずなのに、途上国は先進国への【責任と補償】の路線を走っていたようですね。
世界一のCO2排出国で、米国と対峙する国力にもなった中国は、気候資金の拠出について、途上国の〈顔〉を鮮明にした宣伝活動に努めていたようです。
EV墓場などの弊害を伴っても、再エネ利用が50%を超えている実績を誇示して、国内外から喝采を受ける「自画自賛」とともに、途上国側の味方として、先進国への資金拠出圧力に加担していた様子が見られています。
もちろん、この会期中にリオデジャネイロで開催されていたG20サミットでも、その首脳宣言の47番目では、「COP29議長国への支持を誓い、バクーにおける交渉の成功にコミットする」とされた程度で、世界の主要な国家アクターの「生き様」も、これが現実かも知れません。
いずれにしても、先進国が35年までに現状の3倍となる『年間3千億ドルの拠出を達成する』という目標の設定と、世界全体が官民合わせて『年間1兆3千億ドルの拠出を達成する』という、35年までの気候資金の規模が合意されています。
トランプさんが大統領に就任する前の、そう、駆け込みで。
それに、自国でのカーボンニュートラルでも大変な先進国にとって、気候資金は【責任と補償】のペナルティ経費ではありませんから、その拠出に「際限のない事態」だけは避けたいですからね。
本当に、緩和策と【損失と損害】に対する支援に充てられることを信じたいと思います。
ただ、『気候変動での生き様(仮)』では、次のような一文も書いています。
≪「地球にやさしく」と思う大衆の代表者にとっては、不服かも知れませんが、気候
変動での将来被害は、支払い不能の「高額な被害額」になって、・・・。≫
そう、ガイアでの〔コモンズの悲劇〕は、既に始まっているかも知れませんから、地政学的な要因での軍事費や貿易・生活費が増大すれば、コモンズの中に居る弱者への気候資金は、・・・。
もしそうならば、COP29の成果文は、産油国が議長国になっていたことも含めて、「この合意は、“被害”を可能な限り抑えることを目的としたものだ」という評価も、現時点での人間界として、妥当なのかも。
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